女性が積極的にセックスを楽しむために「膣を知る」 【助産師Akiさんインタビュー】

公開日: 21/08/2025

Un couple qui s'est rencontré sur Noulib se donne la main

セックスやセルフプレジャーが、私たちが生活する上で必要不可欠な行為であることは間違いありません。しかし、性に関する話題は、公の場で語りにくかったり、親しい間柄でも話しにくかったりします。話題にしにくいというのは、日本ではまだまだ、性をタブー視する、「恥ずかしいもの」と捉える環境があるためでしょう。

日本では性教育を含めて、さまざまな活動を行われていますが、そもそも性をタブー視せず、女性も性について語りやすい環境をなぜ作る必要があるのでしょうか。「女を取り戻す活動」としてSNSでの情報発信やワークショップを実施する「助産師Aki」さんにその理由を聞きました。

「性を楽しめていない女性が多い」

これまでに3500人以上の悩みに応え、650人以上に実践型の性教育を実施しているAkiさんは2025年に起業9年目を迎えます。起業当時からの社会や性に対する変化があったかを聞くと「世の中が性について明るく(ポジティブ)になったという印象はない」そうです。

#MeToo運動や性加害が告発されるようになり、ネガティブな側面がようやく明らかになったとしても、人々が性をポジティブに捉えるようにはなっていないのかもしれません。

世の中では性を楽しめていない女性は多いことについて、Akiさんは「背景に日本の伝統的な家庭環境や価値観が関連しているのではないか」と予想します。

「例えば、お股を触っていたら、母親に怒られる。テレビで性的なシーンが流れたら親にチャンネルを変えられる、といった経験から性的な行為は『いやらしいもの』という意識が刷り込まれているのかもしれません。さらに、私たちの祖母の時代にはまだ姦通罪がありました。そのために、自分が性を楽しんだら親を裏切ることになる、という気持ちから、タブー視している女性が多いのではないでしょうか。」

こうした伝統的環境に加えて、性がタブー視されるのは、性的快楽やオーガズムがコントロールできないもの、という理由があるのではないかとAkiさん。助産師であるAkiさんによると、解剖学的な観点から快楽について把握することがこうしたコントロールできない恐怖心から逃れる一つの方法なのだそう。

「たとえば体温が上昇したり、粘液が分泌されることで体の血液循環がよくなったりとか、そういった体に起こるポジティブな要素を解剖学な観点から学ぶことが重要です。なぜなら事実を知ることで、オーガズムなど『コントロールできない、何か怖い状態』という感覚を克服できる女性が増えていくことになるからです」

さらに、セックスにはホルモンの関係から、ポジティブな効果が多くあるほか、体の仕組みや心とともに、実際に見た目にもポジティブな効果があるのだそうです。

「体の粘膜は繋がっているので、セックスのポジティブな循環は美容にも影響し、ドライアイが解消されたと話される方も多くいます。瞳がうるうるしている女性は男性側にも魅力的に映るようになることで私のクライアントさんからもセックスにも好影響を与えたという声を多く聞いています」

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「膣と向き合う」

女性たちが性にポジティブになるために、Akiさんが実践している一つが「膣と向き合うこと」。日本で環境や価値観以上に大きな要因となっているのが、女性が自分自身の性器を「グロテスクなもの」と感じている点があるからだそう。

「学校や大学の教科書にも女性の性器は図版として掲載されますが、それは『理想的』な形として載せられている教科書的な形です。しかし、大陰唇も小陰唇も人によって大きさは異なります。人によっては大陰唇や小陰唇が大きすぎることで自分の性器が異常なのではないかと考えてしまう女性もいるほか、そもそも『グロテスクなもの』という意識から自分で自分自身の性器を見たことがないという方も多くいらっしゃいます。まず、私たち女性に必要なことは『自分自身の膣と向き合う』ことです」

Akiさんは自分の膣と向き合う一つの方法としてセルフプレジャーを勧めます。女性自身がセルフプレジャーをすることで、自分が否定してしまっているのは体なのか、心なのか、そうした自己を受け入れた上で、カウンセリングを始めるそうです。

ただ、そうは言っても、他人の性器を見ることは少ないために、セルフプレジャーで自分の性器を見られたとしても、自分が世間一般と比べてどのような形なのかを比較することはなかなかできません。そのため、Akiさんは自身が開講している「実践型性教育」の中で、受講者の女性にAkiさん自身の性器を見せることで比較させる他に、受講者の性器を「かわいい」と褒めることを行なっていると言います。

「体の最も大事な部分である性器を褒めてあげることは自己受容に繋がります。女性として自信を持てなかった人が自分の膣と向き合える環境を作ることで、自分自身を受け止めることができるようになるのです。それによって物事に寛容になる人も多く、他者を受け止めることに繋がり、パートナーと心が溶け合うセックスができるようになります」

納得のセックスに辿り着くには

解剖学で体について知り、「膣と向き合った」次に必要なのは「自分自身がどういうセックスが好きで嫌いかを知ること」だそう。

「セックスをすることで身体の感度が上がっていきます。ゆっくりとした触れ合いによって自分の中の快と不快が明らかになって、物事の好き嫌いがより明確になるメリットがあります」

しかし、どうやって、好きと嫌いを知ることができるのでしょうか。そのヒントとして、以前に著名セクシー男優の森林原人さんとトークショーを行なった際、森林さんが「自分の不快を取り除けば快が残る」と話していたことを引用します。

「大事なのは、女性自身が不快を取り除いて、セックスに望んで、コミュニケーションをとること。不快を取り除いて残った快の中に自分の性癖やプレイ内容があり、それらと共に、相手と感じ合うセックスが最も心と体の満足度が高いものになるのです。そうしてお互いの目を見つめ合い、言葉をかけることによって『心でイク』ことができるようになります」

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自分自身の不快を取り除くことは相手がどこに不快に思っているかを知ることにも繋がります。Akiさんは「体調はどう?と相手に自然と気にかけることができるようになることに繋がり、自分自身にも他者にも寛容になることにつながります」と話しました。

一方でそもそもコミュニケーションをとる前の段階で悩んでいる人も多くいることも確かだとか。そうした人には「勇気を持って『セックスが大切なことだと思っている』という自分の意思をまず伝えること」が大事だそう。

「感情をそのまま伝える行為はとても愛おしいものです。もっと仲良くなりたい、という気持ちをそのまま伝えること、その感情に至ったストーリーをそのまま相手に伝えることが大切です」

豊かな土壌を整え、「女を取り戻す」

自分自身の膣を受け入れ、セックスについて知り、そして、心も体も溶け合うようなセックスを繰り返すことができる状態をAkiさんは「豊かな土壌を整える」と表現します。

「性と向き合ってセックスの喜びを得ていくと心も体も潤った状態になります。例えれば、肥料や栄養分が増えて、ふかふかで横になりたくなるような土。つまり『豊かな土壌』です。そうした土壌に喜び満ち溢れる種という愛情を植えていくのです」

この「豊かな土壌」を整えること、そして、正しい避妊具の使い方や性病予防といった性教育まで全て含めた自身の活動を、Akiさんは「女を取り戻す活動」と定義しています。これはつまり、性をポジティブに捉える、女性が性を否定せずに、オープンに生きていくことを伝える活動でもあります。そのためにセルフプレジャーや女性用風俗、場合によってはハプニングバーまでも含めてアドバイスの選択肢に上がることもあるそうです。

「私は女性としてどう喜びを持って生きていくことができるのかをクライアントさんと一緒に考えています。中には旦那さんとのセックスができず、婚外恋愛や不倫ではないと女を取り戻せないという悩みを抱えている人がすごく多くいらっしゃいます。そうした人々がどうすれば女性として喜びを見出して人生を楽しむことができるのか。多岐にわたる選択肢の中から女性として自分自身をどう輝かせていくか、というアプローチをアドバイスしています」

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「性を通じて命を全肯定」

Akiさんが性についてポジティブに情報発信をされていたり、ワークショップを開催していたりするのは、自身の生い立ちに関係しているとのことです。

Akiさんは56代も続くある家柄のご出身。しかし、Akiさんの代で男の子が生まれなかったことで「女性として生きることを否定された」という経験から、日々、女性として生活することの生きづらさを抱えていたそうです。しかし24歳の時に世界一周の旅にでた際、フランスやオランダの女性と出会い、体と心にポジティブに話す人が多くいることに感銘を受けます。

「体と心にポジティブな女性に多く会ったことで、女性として人生をどう楽しむかを考えるようになりました。そして、女性が自信を持って生きられる世の中になることで、社会はより良くなると感じて、日本に帰ってきました。ですが、日本に帰ってくると、女性たちの顔があまりにも暗かったことに非常に驚きました。」

さらにパートナーの機嫌取りをしている女性も多く、女性が自身の人生を生きられていないことに気づき「女を取り戻す」ために性に関する情報発信を始めたとのことです。

こうした経験から女性が男性と対等なパートナーシップを持つために、女性が主体的に喜びを受け止めて表現するためにどうすればいいのかを考えるようになりました。

「私が目指しているのは性を通じて命を全肯定することです。性を否定することは存在の否定と同じ。生きづらさに直結してしまうのではないでしょうか。女性がより主体的に喜びを体で受け止めて表現するために、性は欠かせないものなのです。世の中には性的快楽に没頭している自分が許せないという方もいらっしゃいます。ですが、自分の体について知り、女として性を楽しむ人が増えることが今の世の中には必要なことなのではないでしょうか」

つまり、性をタブー視せずにセックスに真摯に向き合うこと、話しやすい環境を作ることは、女性としての生き方を取り戻し、人生をより良く生きるために必要なこと。さらに自分が生まれてきた意味を自分自身で肯定することにつながる必要不可欠な行為なのかもしれません。

助産師Akiさんプロフィール:
パートナーシップコーチ /女をとりもどす専門家。
2008年より助産師として300人以上のお産に関わる。2011年(24歳)から1年半、バックパッカーとして世界一周の一人旅に出る。
アフリカで死産の現場に立ち会い「命」について深く考えるきっかけとなる。
帰国後、2014年に沖縄へ移住。沖縄県立看護大学の教員となり、助産師学生の育成に携わる。
「性教育で日本をもっと明るくしたい!」という想いのもと、日本アマナ性共育協会にて、心を生きる性について学び、解剖学、心理学、コミュニケーション、パートナーシップについて理解を深める。2017年7月よりアマナティーチャーとなり、女性へ実践型性教育講座を全国で開催し、受講者は550名を超える。
「アマナレッスン」、オリジナルの手技「極上ラブシェイク」を通じて、女性の性の悩みを実践を通じて解消。
また、婚活中の女性への性教育講座、産科クリニックでの性教育講座も実施。


性の健康

性に関して身体的、感情的、精神的、そして社会的に健康であることはもちろん、幸福であるにはどうすれば良いのでしょうか?Nouslib Magでお教えします。