フェムケアとは?重要性や効果、具体的なケア方法について

公開日: 21/04/2025

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日本でも徐々に知られるようになっている「フェムケア」。女性の健康と生活の質を向上させるために必要不可欠な取り組みですが、その具体的な意味やアイテムについて詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。

そこで本記事では、フェムケアの定義やフェムテックとの違い、その重要性や効果、具体的なケア方法について詳しく解説します。

フェムケアとは?

「フェムケア(Femcare)」とは、女性を意味する「Feminine(フェミニン)」とお手入れを意味する「Care(ケア)」を組み合わせた言葉です。主に女性の健康やケアのための製品・サービス、またそれらを使って自身のケアをすることを指します。

フェムケア製品・サービスの例

フェムケアの主な領域と、製品・サービスの例は以下のとおりです。

カテゴリ 製品・サービス
月経・PMS ナプキン一体型パンツ
吸水ショーツ
月経カップ
オーガニックのナプキン
使い捨てビデ
生理周期管理アプリ
オンラインピル処方サービス
オンライン相談サービス
妊娠 スキンケア
妊娠記録アプリ
陣痛トラッカー
オンライン相談サービス
産後 スキンケア
電動搾乳機
授乳期の衣類
産後ケア製品
骨盤サポートガードル
モイスチャーボディスーツ
オンライン相談サービス
妊活・不妊治療 卵巣年齢の検査キット
不妊治療データ検索アプリ
オンライン相談サービス
更年期 スキンケア
更年期サポートアプリ
骨盤底筋群トレーニングアイテム
オンライン相談サービス
婦人科系疾患 郵送型婦人科系がん検査キット
ホルモン検査キット
子宮内フローラチェックキット
オンライン相談サービス
セクシャルウェルネス 潤滑剤
セルフプレジャーアイテム
ラブグッズ
骨盤底筋群トレーニングアイテム
デリケートゾーンケアアイテム
(専用のせっけんやウェットシート、保湿クリームなど)

さまざまな企業・メーカーが多様な製品・サービスを販売しているため、自身に合うものが見つかるでしょう。

フェムケアとフェムテックの違い

フェムケアと似ている言葉に「フェムテック(Femtech)」があります。女性を意味する「Female(フィメール)」と科学技術を意味する「Tech(テック)」を組み合わせた言葉で、女性特有の健康課題や悩みを解決するための製品やサービスのことです。

フェムテックの製品・サービスにはAIやIoTといったテクノロジーを活用したものが多く、医療機関・カウンセラーとのマッチングサービスや、月経管理アプリなどが一例として挙げられます。

女性特有の健康課題や悩みにアプローチする点は同じですが、あえて区別するのであれば、テクノロジーを介しているかどうかが両者の違いです。

フェムケアの重要性

フェムテックは1人ひとりの女性にとって必要な取り組みであることはもちろん、国や企業から見ても重要な取り組みのひとつです。

というのも、経済産業省によると女性特有の健康課題による社会全体の経済損失は甚大で、年間3.4兆円と試算されています。

この3.4兆円という金額は、

  1. 生理痛やPMS、過多月経などの月経随伴症状、
  2. 更年期症状、
  3. 婦人科がん、
  4. 不妊治療など、

何らかの症状があるにもかかわらず対策を取っていない層の人数に、欠勤・パフォーマンス低下割合・離職率などの要素と、平均賃金を掛け合わせたものです。

この問題を受けて、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」が導入されるなど、政府による取り組みも進んでいるのが実情です。

また、国連によって2015年に採択されたSDGsもフェムケアに関連しています。とくに関連性が高いのは目標5の「ジェンダー平等を実現しよう」と目標3の「すべての人に健康と福祉を」で、女性の健康を支援する動きが世界的に加速しています。

フェムケアの歴史

フェムケアの意識は、第二次世界大戦後、月経や生殖に関する女性の権利運動が活発になっていく過程で高まっていきました。その後、日本において「フェムテック」や「フェムケア」という言葉が広まり始めたのは2019年ごろだといわれています。

2020年には吸水ショーツが登場し、2021年には「フェムテック」が新語・流行語にノミネートされるなど、徐々に認知度が高まってきています。

日本におけるフェムケアの認知度

先ほどフェムケア・フェムテックの認知度は徐々に高まってきていると解説しましたが、日本における認知度はまだまだ低いというのが実情です。というのも株式会社矢野経済研究所の調査によると、結果は以下のとおりでした。

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とはいえ、経済産業省によるとフェムケア・フェムテック市場は2019年から急速に成長していることがわかっており、2025年には5.5兆円に達するとも予測されているため、今後認知度はますます高まっていくといえるでしょう。

日本で購入・利用率が高く人気なフェムケア製品・サービス

株式会社矢野経済研究所の調査にて、購入・利用経験がある製品・サービスについて質問したところ、とくに回答比率が多かったものは次のとおりです。

  • 妊娠時のスキンケアアイテム:54.8%
  • コットンの紙ナプキン:54.5%
  • マタニティウェア・マタニティインナー:53.1%
  • 婦人体温計:51.7%
  • 生理管理アプリ:50.6%

また、購入・利用経験はないものの、今後購入・利用したいと思う製品・サービスについては、以下のような回答が集まっていました。

【チェックキット】

  • 郵送型婦人科系がん検査キット:35.4%
  • ホルモン検査キット:29.6%
  • 子宮内フローラチェックキット:25.5%

【更年期世代向けのケアアイテム・サービス】

  • オンライン相談サービス:33.6%
  • スキンケア:32.9%
  • 体調管理アプリ:31.0%

フェムケアの効果

ここからは、フェムケアの効果について詳しく紹介します。

  • 身体的健康の向上
  • 精神的健康の向上
  • 性生活の満足度向上

身体的健康の向上

適切なフェムケアを取り入れることで期待できる効果の1つ目は、身体的健康の向上です。

たとえば、吸水ショーツを使用すれば、月経中の漏れの心配やリスクが減り、安心して外出できるほか、感染症や肌トラブルのリスクも軽減されます。

また、お悩みや肌質、ライフステージに合わせたデリケートゾーンケアアイテムを取り入れることで、ニオイやムレ、黒ずみなどの解消も目指せます。

精神的健康の向上

適切なフェムケアを取り入れることで期待できる効果の2つ目は、精神的健康の向上です。

たとえば、月経・妊娠・更年期などの管理アプリは体調やホルモンバランスの把握に役立つほか、パーソナライズされたアドバイスが表示されるものがほとんどです。また、データを見せることで、病院を受診した際にも適切な治療や対策を受けやすくなります。

また、オンライン相談サービスの種類も増えているため、センシティブな悩みも早期かつ気軽に相談できます。産婦人科医や助産師、栄養士、心理カウンセラーなどから専門的なアドバイスが受けられるため、心理的な支え・ケアにつながるでしょう。

性生活の満足度向上

適切なフェムケアを取り入れることで期待できる効果の3つ目は、性生活の満足度向上です。

たとえばニオイやムレ、黒ずみなどのケアを行うことで、コンプレックスが軽減され、性生活に積極的になれます。さらに潤滑剤やグッズを使用することで、負担が軽減されたり、自身の体への理解や知識が深まったりする効果も期待できるでしょう。

また、昨今は女性向けのセルフプレジャーアイテムや快適さを重視したランジェリーなども増えており、リラックスやストレス解消、自己イメージの向上にもつながります。

フェムケアの方法

ここからは、フェムケアを始めたいという方に向けて、具体的な方法を紹介します。

  • アプリで体調管理をする
  • デリケートゾーンのケアをする
  • オンライン相談サービスを活用する

生活の中で手軽に取り入れられるものを中心に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

アプリで体調管理をする

とくにおすすめなのは、アプリでの体調管理です。月経やPMSの体調管理はもちろん、排卵日の予測や妊娠中の体調管理、更年期の体調管理など、ライフステージに合わせて多様な使い方が可能です。

また、アプリによってはピルの服薬時間を知らせてくれたり、体調不良や運動の習慣、睡眠時間などを記録できたりするものもあります。無料で始められるアプリも多いため、自身に合うものを探すところから始めてみてください。

デリケートゾーンのケアをする

デリケートゾーンのケアも、フェムケアの大切な一環です。デリケートゾーンのケアといっても、以下のようにさまざまな方法があります。

とくにおすすめなシーン 方法
毎日のケアを始めたいとき デリケートゾーン専用の洗浄剤を使う
乾燥が気になるとき、下着の摩擦が気になるとき デリケートゾーン専用のクリームやオイルで保湿ケアを行う
汗やムレ、かぶれ、かゆみが気になるとき コットン素材やシルク素材など、通気性のよい下着を使う
生理中 吸水ショーツや月経カップ、専用のウェットシートを使う

これらのアイテムは、一部のドラッグストアや薬局のほか、オンラインストアなどでも販売されています。ぜひ自身に合うものを探してみてください。

オンライン相談サービスを活用する

月経痛や月経不順、PMS、妊活、更年期などの悩みがある場合は、オンライン相談サービスを活用するのもおすすめです。

昨今では通話の機能を有するものだけではなく、チャットやアバターを介して相談できるサービスも増えてきているため、より利便性が高まっています。また、不妊など同じ悩みを持つ女性の治療データを検索できるサービスや、ユーザー同士で悩みを共有できるサービスなどもあります。

「近くに婦人科がない」「忙しくて受診できない」「対面では相談しにくい」といった方はとくに、利用を検討してみてください。

まとめ

フェムケアは比較的新しい取り組みですが、国や企業から見ても重要な取り組みのひとつであることから、徐々に注目を集めています。月経・PMS、妊娠、産後、妊活・不妊治療、更年期といったライフステージに寄り添うものはもちろん、お悩みに合わせた製品・サービスも幅広く誕生しています。ぜひ自身に合うものを選び、快適で安心できる生活を目指しましょう。

出典
経済産業省「女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」、「経済産業省のフェムテック推進について」
株式会社矢野経済研究所「フェムケア&フェムテック(消費財・サービス)市場に関する消費者アンケート調査を実施(2023年)」


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