性的同意とは?海外の状況も解説
公開日: 13/07/2025
公開日: 13/07/2025
日本では2023年7月に形法改正によって、「同意のない性的行為は犯罪」とされました。
性的同意は、健全な性的関係において快楽を共有するための重要な基盤です。自発的かつ明確な同意があることで、パートナー間に信頼が生まれ、より安心した関係が築かれます。これにより、双方がリラックスし、性的快楽を共に楽しむ環境が整うでしょう。同意の確認は単なるルールではなく、相手の意思や快楽を尊重する行為です。この記事では性的快楽に関して、国内外の状況を解説していきます。
性的同意とは、性的な関係や行為において、関与するすべての人が自発的かつ明確に同意している状態を指します。これは単に「嫌がっていない」や「抵抗していない」といった消極的なものではなく、積極的な意思表示が必要です。相手の表情や雰囲気から推測するのではなく、言葉や明確なコミュニケーションを通じて確認されるものです。
また、同意は一度得られたからといって、永続的に有効であるわけではありません。過去に性的関係があったとしても、毎回の行為ごとに同意を確認することが重要です。また、アルコールや薬物の影響下にある場合、相手が適切な判断を下せない状態での同意は無効とされます。脅迫や強制による同意も同様に無効です。相手の意思や感情を尊重し、常に確認を怠らないことが健全な関係を築く上で不可欠です。
性的同意の概念は、性暴力の防止や人権の尊重に深く関わっています。相手の同意を得ずに性的行為を行うことは、相手の人格や尊厳を侵害する行為であり、社会的にも法的にも許されるものではありません。
このような、性的同意は日本でも形法改正によって必須の知識となっています。
日本では「同意のない性的行為は犯罪」とされています。2023年7月に刑法が改正され、性的同意に関する規定が見直されました。この改正により、被害者の同意がない性的行為が犯罪として処罰されるようになりました。改正以前は、暴行や脅迫による性犯罪を「強制性交罪」、心神喪失状態や意識が不明瞭な状態で行われたものを「準強制性交罪」と分類していました。改正後にはこれらを「不同意性交等罪」に統一しました。
日本において、性的同意のポイントは次の4点とされます
* 「非強制性(拒否できる環境であること)」
* 「対等性(社会的、経済的に力関係に左右されない関係であること)」
* 「非継続性(いつでも「やめて」と言えることや、1つの行為ごとに確認をとること)」
* 「明確性(積極的な同意があること)」
日本政府も、こうした性的同意を周知するため、ユーチューブで著名タレントを起用するなどして、周知を進めています。
ただ、同意は口約束でしたとしても「言った言わない」という問題や、書面で一筆書いてもらったとしても、せっかくの雰囲気が台無しになってしまうかもしれません。
また、前述したように、同意には積極性が必要です。「ああ。。うん。いいよ。。」といった積極性がない場合は同意がとれているとは判断されません。積極的かつ明確に「OK!」といった返事が必要です。さらに「手を繋ぐ」「キスをする」など、行為ごとそれぞれに同意が必要とされます。
こうした状況の中で、2023年12月に性交渉の「事前同意アプリ」がリリースされ、話題となりました。
このアプリは相手に同意があることを確認して記録するサービスで、「相手から暴力を振るわれたり、言葉で脅されたりしていませんか」など、弁護士監修で作成された10項目に回答するものです。全てにチェックを入れることで二次元コードが発行され、それをお互いが読み込むことで同意がとれたことになります。
こうしたサービスは確かに法的な問題をクリアしているとはいえ、実際の性行為の際に「白けてしまう」という問題は残るでしょう。実際に、報道では「『質問が何個も何個もっていうのがめんどくさい』『その間にシラけてくる』【10代&20代女性】 」といった声が出ています。
しかし、「性的同意」が法律で必要となった現在では、こうした「シラける」という意識も変わっていく必要があるかもしれません。さらには、アプリや書面に限らず、同意をとる方法についても考えていく必要がありそうです。
一方で、法整備が進んでも、社会全体での性的同意に関する理解や意識が十分でないという課題もあります。
例えば、「恋人同士だから同意は必要ない」や「相手が抵抗しなかったから問題ない」といった誤解が依然として存在します。これらの誤解は、被害者が被害を訴えにくくするだけでなく、加害者が自分の行為の問題性に気づかない要因にもなります。また、性的同意に関する教育が十分に行われていないため、若者が正しい知識や意識を持たないまま成人するケースも多いのが現状でしょう。
性的同意に関する世界の状況を見ると、多くの国で法整備や教育が進められています。スウェーデンでは2018年に「同意なしの性的行為はすべて違法」とする法律が施行されました。この法律では、被害者が明確に同意を示していない場合、性的行為は犯罪とみなされます。これにより、加害者が同意を得るための具体的な行動を取ったかどうかが問われるようになりました。
カナダでも、明確な同意がない性的行為は強姦として扱われます。同意はその都度確認されるべきものであり、一度の同意が継続的な同意を意味しないことが強調されています。また、被害者がアルコールや薬物の影響下にある場合、その同意は無効とされます。これらの法律は、被害者の保護と加害者の責任追及を強化する目的で制定されています。
オーストラリアでは、2023年から性的同意に関する包括的な教育プログラムが必修科目となりました。学校教育の中で、若者に対して同意の重要性や健全な人間関係の築き方が教えられています。これらの教育プログラムは、性暴力の予防だけでなく、ジェンダー平等や人権の尊重といった広範な社会的課題にも対応しています。
オーストラリアのニューサウスウェールズ州でも2021年11月に性的同意法を可決しましたが、2022年2月のLSJオンラインの報道では、若い男性の14%が「性行為を行うたびに同意を求めなければならないことに同意していない」ことがわかっています。
日本に限らず、世界では性的同意が広まっている流れはあるものの、人々の間にはなかなか周知されていない現状です。
一方で、文化的・宗教的な背景から性的同意の概念が十分に浸透していない国や地域も存在します。その結果、性暴力の被害者が声を上げにくい環境や、加害者が処罰されない状況が生まれています。国際的な人権団体やNGOは、これらの地域での啓発活動や法整備の支援を行い、性的同意の重要性を広める努力を続けています。
性的同意は、人間関係を築く上での基本的な要素であり、相手の尊厳や権利を尊重するための土台です。お互いの意思を確認し合うことで、信頼関係が深まり、安心して関係を進めることができます。また、性的同意をとることで健全な性的関係において快楽を得られることにつながるでしょう。
日本においても、性的同意に関する理解を深めるための取り組みが求められています。教育現場での性教育の充実や、メディアを通じた啓発活動など、社会全体での意識改革が必要です。個人レベルでも、自分自身の行動を見直し、相手の意思を尊重する姿勢を持つことが大切です。
性的同意についての正しい知識と理解は、健全な人間関係の構築だけでなく、社会全体の安全と平等にも寄与します。性的同意の重要性を広く伝え、誰もが安心して生活できる社会を実現するために、私たち一人ひとりができることを考えていく必要があります。
性に関して身体的、感情的、精神的、そして社会的に健康であることはもちろん、幸福であるにはどうすれば良いのでしょうか?Nouslib Magでお教えします。