世界中で性生活の満足度が上昇!日本の状況は?
公開日: 18/02/2025
公開日: 18/02/2025
最新の調査によると、世界中で性生活に関して肉体的、精神的な満足度が高まっているようです。セックスや性的な快楽について、話すことへの抵抗感が薄れ、より積極的になっているのかもしれません。この記事では国内外の性に関する調査結果から、現在の人々が性生活をどのように感じているのかを探ります。
コンドームブランドのデュレックスが2024年5月に公表した「グローバル・セックス・サーベイ」によると、回答者の57%が性生活について精神的に満足していると回答し、56%が肉体的に満足していると回答しました。2006年の調査と比べると、精神面では12%、肉体面に関しては21%増加しており、世界中で性的満足度が上昇していることが明らかになりました。
年齢別にみると、満足度の割合が最も大きかったのは35歳から49歳の回答者で、63%が性生活に肉体的に満足していると回答しました。
Yahoo!lifeでは、この調査結果に関して、「2020年にYouGovで発表された調査結果に対する懸念を和らげるもの」と評価しています。
YouGovの調査では加齢とともに性交渉の回数が大幅に減少することが指摘されています。この調査では、20代後半がどの年齢層よりもセックスをする回数が多いことが示されており、年齢が上がるに連れて回数が減少することが示されました。
例えば、30代後半(35歳〜39歳)になると、ほぼ5人に2人(38%)が過去7日間に性行為を行っていないと答えたそうです。さらに40歳から44歳ではほぼ5人に1人がまったくセックスをしていないと答えています。
もちろん、頻度が低いからといって、必ずしも性生活の満足度が低いわけではないでしょう。しかし、お互いの性的欲求を満足させるために、ある程度の頻度は必要なはずです。
さらに、デュレックスの調査では、性生活の満足度が高い人は全体的な幸福感も高いことが示されました。性的に満足している人の51%がより健康的であると感じ、51%がより自信が持てると感じ、65%がより幸せだと感じていると答えたのです。全世界の回答者の54%が、性生活が刺激的であると強く同意しており、2006年以降11%増加しました。
そうした点からもデュレックスの調査で性的満足度が上昇しているという具体的な数値が示されたのはいい傾向かもしれません。
調査によると、避妊に関する意識も向上していることがわかります。初めての性行為の際にコンドームを使用する割合は2006年から34%増加し、2024年は55%となりました。コンドームを販売している企業の調査ということで、一定のバイアスがかかっていることが伺えますが、回答者の5人に1人が初めての避妊具としてコンドームを選択しているそうです。
さらに性の多様性に関しても当事者の受容が高まっているようです。
18 ~ 24 歳の回答者のうち、44% が「完全にストレートではない」と自認しています。同性間の関係に対する支持も 2006 年以降 34% 増加。従来の伝統的な価値観に縛られない、自由に性を追求する様子が伺えます。ヨーロッパでは、オランダとスペインの 69%、イギリスの 66% の人が同性間の関係を支持しているそうです。
調査は36カ国29500人を対象に実施されました。過去20年に遡ると、合計で11万8000人が調査に参加しています。
一方で、日本は「セックスレス大国」として知られています。特にデュレックスが2005年に発表した調査では「1年間にするセックスの回数は45回」と、調査対象国中で最下位になったことが話題になりました。
トップはギリシャの138回で、世界平均の103回の半分にも満たないものでした。性生活の満足度に関しても最下位の中国の22%についで24%と惨憺たる結果でした。
この傾向は特に改善は見られていないようです。一般社団法人日本家族計画協会家族計画研究センターが2024年に実施した「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024」によると、2013年と比べると「セックスの回数」が「月1回未満」の割合が上昇しており、2020年以降の調査では半数以上の夫婦が「セックスレスである」と回答したように、性生活に関して消極的であることが示されています。
この調査では女性がセックスに関して「快感が得られない」ことや「オーガズムに達することができていない」ことに悩んでいる割合が高いことがわかっています。
こうした中で、2023年8月に日本の高齢者の性意識調査が英医学誌に掲載されたことが話題になりました。この調査自体は2016年に実施されたものですが、幅広い年代を調査したデュレックスの調査とは異なり、高齢者に特化した性に関する調査はあまりなかったことが注目された理由でしょう。
毎日新聞の報道によると、調査責任者の今井博久・帝京大大学院公衆衛生学研究科教授が 「単に性生活の実態を尋ねただけでなく、どのような性意識が人生満足度につながるのか、シニアのセクシュアリティーと幸福感の関係にまで踏み込んで定量解析したことが『新しい』と受け止められたのだと思います」と語っています。
この調査では、女性は男性に比べて、「性は楽しいものだ」「性生活は重要だ」とは考えていないという結果が得られたそうです。
これは肉体的な性交渉のみを女性が求めているわけではないためと指摘されています。
「男性は身体的な関係を望み、性交渉に重きを置く傾向があるのに女性はそうではなく、精神的な関係を重視していることが明らかになりました。女性の傾向は年齢に左右されず、一貫していることも特徴的です」(筆頭著者の中尾裕之・宮崎県立看護大教授。毎日新聞より引用)>
しかし、前述の【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024で女性が「快感を得られにくい」や「オーガズムに達することができていない」ということについて悩んでいることを合わせると、ひょっとすると女性は身体的な関係を望んでいるけれども、セックスにおける経験があまりいいものではないことから精神的なものへの比重が高まってしまっているとも考えられそうです。
実際に、高齢者の性意識調査の中におけるセックスと「人生満足度」との関連を調べると、性的な関係を望まないと答えた人の人生満足度は低いという結果が出たそうです。性に関してポジティブな人の方が人生への満足度が高かったというのは注目すべき結果であり、これは女性も身体的な満足度は求めていると捉えられるかもしれません。
2023年に日本の既婚男女4000人を対象に行われた調査では、セックスレス状態でない夫婦の方が仲がいいという結果も示されています。日本ではセックスや性に対してよりポジティブになることが重要だと言えるでしょう。
一方で、「現在はセックスレスであるとしても、性愛にまつわるいい思い出や印象があるだけで満たされる」という結果もでたとしています。
世界中で性生活の満足度が向上している一方で、日本は「セックスレス大国」として課題が残ることが浮き彫りとなっています。
デュレックスの調査では、性的満足度の向上が全体的な幸福感にも関連していると示されており、性生活に対するポジティブな態度が人生満足度を高める要因とされています。しかし、日本の過去の調査結果では、性行為の頻度が他国に比べて低く、特に満足度の面で課題が指摘されてきました。
高齢者を対象とした最近の調査では、性的関係を重視しない人々の満足度が低いことが示され、年齢を問わず、性に対するポジティブな意識が重要であることが強調されました。
性に関して身体的、感情的、精神的、そして社会的に健康であることはもちろん、幸福であるにはどうすれば良いのでしょうか?Nouslib Magでお教えします。